
おすすめの私立学校紹介「洗足学園中学高等学校」
「働く」という観点での私学の魅力や、人材育成についてお話を聞かせていただくコーナーです。
今回は、洗足学園中学高等学校のオフィスマネージャーの玉木大輔先生にお話を伺いました。
「不易流行」で本質を守りながら時代の先取りにチャレンジ
──貴校ではどのような理念を大切にしているのでしょうか。
玉木先生 洗足学園では1990年代後半から大胆な学校改革※を行い、進学実績を躍進させるなど大きな成果を上げてきました。「不易流行」という言葉があります。不易流行とは、普遍的・本質的なものを大切にしながら、新しい変化に挑戦し続けるということ。本校では創立以来掲げている「自立・挑戦・奉仕」という教育方針を守りながら、時代や社会の変化に合わせてブラッシュアップする。そんな挑戦者としてのマインドを大切にしているのです。
学園全体の話になりますが、例えば、洗足学園音楽大学は全国でも学生数が抜きん出て多く、トップを誇ります。それは常に音楽に新しい改革を取り入れているからです。クラシックだけでなく、ジャズ、アニメ、声優、ゲームなど最先端のジャンルを取り入れ、2024年には最先端技術を取り入れた新校舎「メディアラボ」も竣工。このようにハードとソフト両面で改革を推し進めていることが、我々の強みになっています。
洗足学園音楽大学は音楽大学として学生数が日本一を誇る
── 貴校ではどんな生徒が学生生活を送っているのでしょうか。
玉木先生 生徒たちは、学校の外にも積極的に出て行って学ぶ機会が多く、自ずと視野が広がっていきます。その結果、明るく社交的になっていく生徒が多いと感じています。決して入学したときから積極的な子ばかりということではなく、引っ込み思案だった子も、学校生活を楽しむうちにどんどん明るく、積極的になっていくのです。それは自分で人生の道を切り拓く力にもなっています。結果的に、自ら学ぶ自主性が育ち、進学実績の伸びにもつながっているのだと思います。
教育者であると同時に経営マインドを持つ教員
──洗足学園の教員にとって、大切なマインドとはどのようなことでしょうか。
玉木先生 洗足学園は学園全体でしっかりとした目標があり、それに対して組織的なスクラムを組んでチーム力で進んでいく学校です。ですから、その中で自分がどう動くべきかをわかったうえで、積極的に行動に移します。教員も私学の教員であると同時に、学校法人に勤務する会社員として経営を意識するようにしています。
私自身、そんな経営マインドが染み付いているせいか、教員経験しかないのにもかかわらず、一般企業からの転職組だと思われることがよくあります。そういう経営マインドの必要に気づかされたのが、若い頃に受けた外部研修です。学校を法人として見る目を養うきっかけとなり、他校の先生と交流する中で、当時は非常に刺激を感じました。そのような外部研修での学びはいまでも、私自身にとって大いに役立っていると感じています。
社会経験を生かし生徒が魅力を感じる授業を
──貴校にも他業種から教員を目指す先生方もいらっしゃいますか。
玉木先生 現在、在籍している教員には、一般企業の研究職やマーケティング経験者などもいます。そういう企業での経験からくる新しいアイデアや考え方が、学校に新しい風を吹き込んでくれています。本校が力を入れている探究授業でも、そのような経験者のアイデアが生かれている例が多くあります。教科融合で英語×家庭科の授業をしたり、パスタを使った折れない橋を作る授業、滞空時間の長い紙飛行機を考える授業など、ユニークなものがいくつもあります。そのような工夫が凝らされた授業で、生徒たちも目を輝かせて学んでいます。
──具体的な採用プロセスについても教えてください。
玉木先生 採用プロセスは新卒でも中途採用でも同じです。書類選考のあと、二次選考で筆記と面接があります。本校では生徒が将来を切り拓ける総合的な力を伸ばすことを目指しています。筆記ではそういったキャリア形成で重要となる総合力を育てる力や、進路指導をできるかどうかを判断しています。面接は教科面接で、模擬授業などはありません。三次選考は学校長と法人の責任者による面接です。最後の4次選考で理事長面接を行います。
充実した施設環境で教えることができる
充実した教員研修で個人もチームも強くなる
──洗足学園の教員になることの魅力とはどのようなことでしょうか。
玉木先生 学校教育という枠の中で、自分のやりたいことが思う存分できると思います。本校では進学校だから受験指導に特化した授業をするというよりも、学校教育でないとできないことを大切にしています。そういう点で、教員にも発言しやすい、行動におこしやすい心理的安全性をしっかりと確保し、一人ひとりがチャレンジしやすい環境をつくっています。
──教員に対する研修やキャリアッププログラムなどはあるのでしょうか。
玉木先生 外部研修、内部研修ともに力を入れています。外部研修は外の世界から教わることもたくさんあり、非常に刺激が多いのが魅力ですが、その一方で「教えてもらう」という受け身になってしまう部分があります。一方、内部研修では、自分たちで課題を見つけ、グループで議論しながら自ら考えるという、自発的な学びが得られます。そういう内部研修の充実を加速度的に進めているところです。
例えば本校では教員向けの内部研修を、春と夏に1日8時間、2日間ずつみっちりと実施。この研修は最優先される大事なプログラムで、全教員が参加します。日常的に教員同士で教え方について技術的なアドバイスをし合う姿もよく見られます。そういった横の連携を深めることで、経営マインドを持ちつつチーム力で教育するというカルチャーがより強化されていきます。
内部での研修を充実させることでチーム力もアップ
成功に甘んじず、さらなる進化へと歩み続ける
──今後の洗足学園はどのように進化していくのでしょうか。
玉木先生 体は細胞のひとつひとつがつながることで臓器としてひとつの機能を持ち、それが人間の活動となっていきます。教育もそれと同じです。学年という一つの単位でチャレンジして成果を出すことで、それが学校全体へと広がっていきます。学年が違うと、そのようなチャレンジや成果もわかりにくいのですが、教員研修をしっかり行っていることで、教員間での「見える化」がされています。
そういう仕組みの中で、教員ひとりひとりが自分の頭で考えチャレンジを実現していく。そういうボトムアップ型の体制が整う環境下にあるからこそ、これからもさまざまな改革を進めていけると考えています。校長の宮阪は教員とかなり頻繁に面談を行っています。そういった教員の声をしっかりと吸い上げ、学校運営にもうまく反映できていると思います。
──進化し続けるためにも、今後どのような人材を必要としていますか。
玉木先生 成功体験があるから、チャレンジへのハードルが低くなっているのは確かにあります。しかし、その成功体験に甘んじるということではありません。宮阪(校長)がよく語っているのが、「成功者ほどその経験の後追いをしてしまうもの。過去の経験を捨てて、新たに取り組む姿勢こそが重要」という言葉です。過去の成功体験に縛られて、それを繰り返すだけでは進化し続けることはできません。そこからさらなるステップアップを目指すという意志の強さが、洗足学園らしさです。そういった本校の姿勢に共感し、一緒にさらに進化した教育を志す熱い情熱を持つ人に、仲間になっていただきたいですね。