
学校のお仕事図鑑「教科指導の仕事」
教科指導とは
教科指導とは、各教科の授業を行うことによって生徒の学力を高めていくことです。小学校教諭は基本的に全教科の指導を行いますが、中学校・高等学校教諭は各教科を担当する教諭が教科指導を行います。
教科指導の内容に関しては文部科学省が定めた学習指導要領をもとにして行われ、学習指導要領が改訂されるごとに新しい教科が追加されたり、教える内容が変化します。
公立学校においては国が定めた検定教科書を用いて教科指導が行われることが多いですが、私立学校ではそれぞれの学校の教育方針や生徒に合った検定外の教科書や学校独自の教材なども用いて教科指導を行うこと
があります。
2020年度以降に段階的に導入された新学習指導要領では、「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力、人間性」などの3つの柱からなる「資質・能力」を総合的にバランスよく育んでいくことで、身に着けたものを「活用する力」を育成することが大切とされています。
教科の種類
教科の種類は学校種によって異なります。学校種ごとの教科の違いは以下の表のようになります。
小学校 | 中学校 | 高等学校 |
国語 | 国語 | 国語 (現代の国語、言語文化、論理国語、文学国語、国語表現、古典探究) |
社会 | 社会 | 地理歴史 (地理総合、地理探究、歴史総合、日本史探究、世界史探究) 公民 (公共、倫理、政治・経済) |
算数 | 数学 | 数学 (数学I、数学Ⅱ、数学Ⅲ、数学A、数学B、数学C) |
理科 | 理科 | 理科 (科学と人間生活、物理基礎、物理、化学基礎、化学、生物基礎、生物、地学基礎、地学) |
音楽 | 音楽 | 芸術 (音楽I、音楽Ⅱ、音楽Ⅲ、美術Ⅰ、美術Ⅱ、美術Ⅲ、工芸Ⅰ、工芸Ⅱ、工芸Ⅲ、書道Ⅰ、書道Ⅱ、書道Ⅲ) |
図画工作 | 美術 | |
体育 | 保健体育 | 保健体育 (体育、保健) |
家庭 | 技術・家庭 | 家庭 (家庭基礎、家庭総合) |
生活 | 情報 (情報Ⅰ、情報Ⅱ) |
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外国語 | 外国語 | 外国語 (英語コミュニケーションⅠ、英語コミュニケーションⅡ、英語コミュニケーションⅢ、論理・表現Ⅰ、論理・表現Ⅱ、論理・表現Ⅲ) |
特別の教科 道徳 | 特別の教科 道徳 | |
総合的な学習の時間 | 総合的な学習の時間 | 総合的な探究の時間 |
特別活動 | 特別活動 |
小学校~高等学校にかけて、国語・社会・数学・理科・外国語の5教科を中心とした内容が学ばれ、年齢が上がるにつれ、教科内容も細分化され、より深く専門的な学びを行えるような仕組みになっています。
上記の他、各学校の特色ある学びや専門教育としての学びとして、理数、宗教、農業、工業、商業、看護、福祉などの教科があります。
2020年以降に新たに加わった教科
2020年度からの新学習指導要領では新たな教科が加えられました。
小学校の段階から外国語学習が導入され、小学校3・4年から「外国語活動」、小学校5・6年で「外国語」の学習が始まっています。また、小学校における「プログラミング教育」も必修化され、各教科の中で「プログラミング的思考」の能力を育むことが明記されました。
中学校でも外国語教育の変化や、プログラミング教育の追加がありました。プログラミング教育に関しては、「技術・家庭」の「D. 情報に関する技術」においてネットワークの活用やプログラミングによる問題解決の内容が増加し、学習時間も2倍に増えています。
高等学校では必修科目「情報Ⅰ」が新設され、全ての生徒がプログラミングのほか、ネットワークやデータベースの基礎などについて学習することになっています。
また、2022年度から成年年齢が18歳に引き下げられ、18歳から選挙権が与えられるようになったことから、全ての高校生が学習する必修科目として公民科に「公共」が新設され、1人1人が主権者意識を持ち、社会の中で自立するとともに、他者と連携・協働して社会に参画していく力を育むことが求められています。
以上の他にも「消費者教育」「体験活動」「起業に関する教育」「金融教育」「防災・安全教育」「国土に関する教育」なども重要とされ、学校教育の中で学ぶことができるようにと記載されています。
これからの教科指導
学校教育では各教科の内容は発達段階に沿って系統的に学ぶことができるように配置されています。教諭はそれぞれの発達段階を理解しながら、教科に関する専門的な知見や技能を活かし指導を行うことが求められます。
近年は教科の内容を身につけるだけでなく、それを実際に活用し、実生活に生かすことも求められているため、これからの教科の授業では1つの教科の内容を深めるのみではなく、探究学習などにもみられるような主体的・対話的な学びや教科縦断的な学びが重要視されています。
専門的な内容と教科を統合した内容の学習を行う中で、各教科の学びをさらに深め、積極的に活用できる生徒を育てていきましょう。