私立学校の採用試験の内容について
記事更新日 2024.01.31

私立学校の採用試験の内容について

今回は私立学校の先生になるための採用試験の内容についてご紹介します。公立学校と違い、学校によってそれぞれ特色があるのが私立学校の採用試験です。採用試験がどのような内容で行われるのかお伝えしたいと思います。

公立学校と私立学校の採用試験の違い

公立学校の教員採用試験の場合は毎年決まった時期に教員の募集があります。春に出願し、夏に試験を行って、秋に合格が発表され、次の春に着任するというサイクルで行われています。
近年、民間企業の採用活動が3月から行われることや、国家公務員試験が4月、地方公務員試験が5月頃から行われていることから、教員採用試験も6月頃に早めようとする動きが出てきていますが、公立学校で正規教員として働くためには1年に1回の教員採用試験をクリアする必要があります。

私立学校は公立学校と違い、1年を通して募集を行っています。教職員の欠員が出た際に募集が行われるため、希望する学校の求人情報を常に集めておく必要があります。また、公立の教員採用試験が早期化していることに合わせて私立学校の募集も早期化している動きが見られるので、早めに情報を集めておく必要があります。
公立学校と私立学校の採用の大きな違いは、公立学校は学校がある「自治体」の教育理念や教育施策について理解する必要があるのに対し、私立学校は希望する「学校」の教育理念や行われている教育の内容に関して十分に理解しておく必要があることです。
公立学校の教員は自治体で働く「地方公務員」、私立学校の教員は私立学校という学校法人で働く「学校職員」という立場になるため、その違いを理解しておく必要があります。
また、公立学校の教員採用試験では過去問などを使って学習することができますが、私立学校の採用試験に関しては各学校によって行う内容が異なり、過去問もほとんどありません。その点で、私立学校の採用試験は民間企業の採用試験に近いといえます。

私立学校の採用試験の内容

次に私立学校の採用試験の内容をお伝えします。
私立学校の選考内容は大まかに「書類選考」、「筆記試験」、「模擬授業」、「面接」に分かれています。

書類選考

書類選考では応募時に履歴書やエントリーシート、自己PR書、論作文などを提出することが多いです。公立学校や民間企業などに勤めていて、私立学校の教員に転職する場合は、職務経歴書なども提出することになります。
書類作成時に特に大切なのは「なぜ私立学校を希望するのか」「なぜその学校で働きたいのか」ということが明記されているかどうかです。私立学校は学校それぞれに建学の精神があり、特色のある教育を行っている学校が多いため、その学校を選んだ理由とその学校で自分の経験や能力を生かし、どのように貢献していきたいのかをわかりやすく書くようにしましょう。

筆記試験

筆記試験では専門教科の内容や、教職教養、小論文、SPIなどの試験を行う学校が多いです。
私立学校の場合は公立学校と違い過去問がないため、自分で情報を集めて準備しておく必要があります。専門教科や教職教養の内容は公立学校の教員採用試験とも共通する部分があるので、公立学校も受験する方はその学習を生かせるでしょう。また、学校によって求められるレベルも違ってくるため、そのことも踏まえて準備していきましょう。
小論文のテーマに関しては、記述する内容がその学校で実践してみたい教育や担当教科の授業に関すること、学校全体の経営に関することなど多岐に渡っています。希望する学校の特徴を掴み、採用後に自分がどのように貢献しようとしているか考えておく必要があります。
以下にテーマ例を記載します。

<小論文テーマ例>
・中高一貫校の6年間で生徒に身につけさせたい力と、自身が貢献したい領域
・自分の授業でつけさせたい力
・これからの教育の在り方について
・本校で実践してみたい教育について
・授業や担任、部活動などの各業務をどのように配分するとよいと思うか

模擬授業

模擬授業は中高であれば担当教科の授業を行い、小学校の場合は全教科、道徳や特別活動なども含まれることがあります。模擬授業の内容が事前に知らされる場合もあれば、当日知らされることもあるため、自分の教科に関してしっかりと頭に入れておくことが必要です。
また、模擬授業を行う際には教科の知識だけではなく、言葉遣いや生徒との双方向性があるかどうか、ICTが活用できるかなども見られています。
特に専任や常勤講師などの役職になると、「この人にクラス担任を任せられるかどうか」も見られるため、クラスに子どもたちがいることを想定して授業の進め方を工夫したり、発問や言葉かけの仕方を考えておく必要があります。

<模擬授業のポイント>
・教科の内容を理解しているか
・聞き取りやすい声で分かりやすく指導できるか
・その場に生徒がいることを想定した質問ややり取りができるか
・ICTを活用した授業ができるか

面接

面接では、志望動機や学校でどのように活躍したいか、などの内容が聞かれることが多いです。履歴書、自己PR書、小論文などで書いた内容と質問への回答がずれないように気を付けましょう。
私立学校では特に「どうしてこの学校を選んだのか?」ということを明確に伝える必要があります。学校のホームページなどから希望する学校の強みや教育理念などをよく調べておきましょう。
面接で一番見られていることは「この人は本当に本校の教職員になりたいのか?」という点です。熱意と誠意をもって質問に答え、「この学校で働きたい」という気持ちをアピールできるようにしましょう。

<面接で聞かれやすい内容>
・志望動機
・本校に持っていたイメージは?
・本校の建学の精神についてどう考えるか?
・本校ではどの分野で活躍したいか?(教科指導・進路指導・部活動など)
・あなたの強みを本校でどのように生かしたいのか?
・勉強が苦手な子に対してどのようにアプローチするのか?
・SNS上で生徒がトラブルに巻き込まれた際にどのように対応するか?
・本校の教員とチームワークがとれるか?
・本当に本校の教職員になりたいのか?
・本校について質問したいことはあるか?(逆質問)

まとめ

私立学校の採用試験は、公立学校と違って過去問がないため、自分で情報を集め、準備していく必要があります。私立学校はそれぞれの学校によって建学の精神や教育理念が異なり、教育内容も多様です。希望する学校に関してはホームページなどでよく情報を集め、どのような教育を行っているのか事前によく調べながら、試験準備を行うようにしましょう。
公立学校も受験する場合は、私立学校と試験内容が被る内容も多いので、公立校・私立校両方の試験対策の経験を生かすことができます。

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