学校のお仕事図鑑「学校管理職」
記事更新日 2024.02.08

学校のお仕事図鑑「学校管理職」

学校運営の要である学校管理職のお仕事についてご紹介します。

学校管理職とは

学校管理職とは校長・副校長・教頭を指します。
校長は学校に絶対に置かなければならない職であり、学校教育法において、「校務をつかさどり、所属職員を監督すること」が職務とされています。
副校長は、2007年の学校教育法改正によって登場した職です。副校長は、「校長を助け、命を受けて校務をつかさどる」(学校教育法)とされています。東京都では2004年度から独自に副校長制度を導入し、教頭ではなく副校長を置いています。
教頭は「校長(副校長を置く学校にあっては、校長及び副校長)を助け、校務を整理し、及び必要に応じ児童の教育をつかさどる」(学校教育法)とされています。校長・副校長は児童生徒の指導を行いませんが、教頭は児童生徒の指導を行う点が異なっています。
また、副校長・教頭は、校長(副校長)に事故があったときは校長(副校長)の職務を代理し、校長(副校長)が欠けたときは校長(副校長)の職務を代わりに行います。

校長 学校の最高責任者。校務をつかさどり、所属職員を監督する。
学校経営方針を定め、所属職員のマネジメントから教育課程の編成、
校内人事などの管理運営を行う。
各学校に1名置かれる。
副校長 校長を助け、命を受けた校務を行う。
※自治体によって置いていない場合がある。
各学校に1名、もしくは複数名置かれる。
教頭 校長(および副校長)を助け、校務を整理し、必要に応じ児童・生徒の教育を行う。
※自治体によって置いていない場合がある。
各学校に1名、もしくは複数名置かれる。

学校管理職の仕事内容

校長は「校務をつかさどり、所属職員を監督する」ことが職務とされており、副校長や教頭はその仕事を助ける形になっています。
その仕事の内容は一般に「4管理・2監督」と呼ばれています。

管理

校長をはじめとした学校管理職は学校運営を円滑に進められるよう管理・運営することが求められます。具体的には「教育課程の管理」、「人的管理」、「物的管理」、「金銭的管理・総務」の4つの管理を行います。

① 教育課程の管理
学校運営の基本となる、時間割や行事などを決定します。また、学校を運営するために必要な仕事を分担し、教職員たちに振り分ける仕組み(校務分掌)を決定します。
<教育課程の管理例>
・教育課程の編成
・時間割の決定
・教材の選定、承認、届け出
・修学旅行などの学校行事の決定・実施
・臨時休業の決定と報告
・校務分掌の決定と報告
・クラス担任や教科担任の決定
・職員会議の開催   など

② 人的管理
教職員と児童生徒の管理を行います。
<人的管理例>
・教職員の勤務時間の管理
・教職員の研修の承認や休暇・出張の管理
・児童生徒の出席状況の把握
・児童生徒の指導要録の作成
・児童生徒の入学、転学、休学、退学の許可
・児童生徒の課程修了および卒業認定
・児童生徒の懲戒
・卒業証書の授与  など

③ 物的管理
学校設備の管理を行います。
<物的管理例>
・施設設備の管理
・施設設備の貸与
・防火、警備   など

④ 金銭的管理・総務
学校を運営するための予算の管理を行います。
<金銭的管理・総務例>
・学校予算の編成と執行
・旅費、設備費。その他の運営経費の執行
・事故報告
・校務報告   など

私立学校の管理職は「入試」や「広報」などの校務や、「国際」「探究」などそれぞれの学校ごとに特色ある教育課程に関する校務があるため、それらを管理・運営していく役割もあります。

監督

学校管理職は教職員を職務上、身分上にわたってよく観察し、必要に応じて指導・助言、指示・命令をすることも求められています。具体的には教職員が「職務上の義務」と「身分上の義務」を守るように、指導・監督を行います。
公立学校の教員は地方公務員であり教育公務員であるため、地方公務員法や教育公務員法などの法令に基づいて監督を行います。
私立学校の教員には公務員法は適応されませんが、学校ごとに定められた規則やルールに基づいて監督を行います。

①職務上の義務
仕事を行う上で勤務時間内に守るべきルールについて監督します。
<職務上の義務>
・服務の宣誓
・法令及び上司の職務上の命令に従う義務
・職務に専念する義務   など

②身分上の義務
勤務する学校の教職員として、職務の内外を問わず守るべきルールについて監督します。
<身分上の義務>
・信用失墜行為の禁止
・秘密を守る義務
・政治的行為の制限
・争議行為等の禁止
・営利企業への従事等の制限 など

学校管理職のやりがい

学校の最高責任者である校長とそれを補佐する副校長・教頭は、学校で起こる様々な問題に対し、最高意思決定者として迅速に対応・判断していかなければなりません。
責任の大きい仕事ですが、その分学校運営に対して大きな裁量権を持つことができます。自分の理想とする学校を教職員とともに作り上げることができることが学校管理職の大きな魅力です。
また、これからの学校管理職は学校教育活動に関わる様々なデータを活用し、内外の教育に関する情報を収集・整理・分析して学校経営に生かす「アセスメント能力」と、多様な背景、経験、専門性を持った教職員や、家庭・地域の関係者と連携して学校運営を行う「ファシリテーション能力」が求められます。
データ活用などの新しい知見を活かしながら、多様な人材を結びつけ、協働し、新しい時代の教育を作っていけることが学校管理職のやりがいや醍醐味と言えるでしょう。

学校管理職になるには

公立学校では一般教諭の場合は管理職選考試験を受けて合格することが求められます。教員経験が10年程度あることが条件のところが多く、一般教諭であれば「副校長(教頭)試験」を合格すると教頭になることができます。また、副校長(教頭)は「校長試験」を合格すると校長になることができます。
試験内容は「教育法規」「小論文」「面接」などがありますが、管理職選考試験受験希望者の減少などにより、筆記試験を廃止し、面接のみで登用する自治体も出てきています。
教員免許をもたない民間人が校長に採用されることも増えており、民間企業や官公庁でマネジメント経験のある人がその経験を生かして校長に就任し、学校改革を進めるという例もあります。
私立学校の管理職は、その学校に勤務している教員が昇進して着任するケースが多いですが、民間企業出身の方が校長・副校長・教頭に抜擢されることもあります。
学校管理職を目指す方は、学校現場で教員経験を積んで昇進を目指すか、もしくは民間企業で管理職を経験し、学校管理職の求人に応募するなどの方法があります。

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