学校のお仕事図鑑「スクールカウンセラー」
記事更新日 2024.09.20

学校のお仕事図鑑「スクールカウンセラー」

スクールカウンセラーとは

スクールカウンセラーは、小・中・高等学校で児童生徒が抱えるさまざまな課題について、解決のための助言や指導を行います。その背景にはいじめや不登校、児童生徒の問題行動の増加により、学校現場において専門的な心理学の知識や心理の援助知識が求められる機会が増えたことがあります。
スクールカウンセラーは1995年頃から学校に配置されるようになり、2019年には小学校では84.7%、中学校では97.6%、高等学校では91.3%の学校に配置されています(令和元年学校保健調査)。

 

スクールカウンセラーの仕事内容

児童生徒へのカウンセリング

スクールカウンセラーの中心的な業務は、児童生徒へのカウンセリングです。個別カウンセリングでは、児童生徒が直面している問題や悩みを丁寧に聴き、解決策を一緒に見つけていきます。その際、問題が複雑な場合は、継続的なサポートを提供します。
また、グループカウンセリングやワークショップなども行います。これらの活動を通じて、児童生徒がコミュニケーションスキルや社会的スキルを向上できるようにします。特に、いじめや対人関係の問題を抱える生徒には、このようなプログラムが有効です。

教職員や保護者に対する助言・研修・講演

スクールカウンセラーは「心の専門家」という立場で教職員と協働しながら児童生徒の成長をサポートしていきます。教職員向けに児童生徒の理解に役立つ研修や不登校・発達障害などに関する研修・講演を企画することで、教職員が対応の仕方を学ぶことができます。日常的にも児童生徒の様子を観察し担任教師らに伝えることで、学校全体で連携してサポートを行うことができます。
スクールカウンセラーは児童生徒の保護者にも助言・援助を行います。子どもに関すること、例えば生活リズムの乱れ(ゲームやスマホがやめられない、夜更かしなど)、親子関係(子育て)の悩み、不登校、発達障害の疑いがあるなどの保護者が抱える様々な悩みについて相談に乗り、必要があれば地域の相談機関、医療機関などを紹介します。
児童生徒がかかえる問題を総合的に理解し、適切な支援を提供するためには、家庭や学校との協力が不可欠です。定期的な面談や情報共有の場を設け、児童生徒の状況を把握しながら、最適なサポート体制を整えていきます。

ストレスチェックや授業観察等の予防的対応

学校全体のメンタルヘルス向上に向けた取り組みも行います。メンタルヘルスに関する啓発活動や、ストレス管理のためのワークショップ、メンタルヘルスに関する資料の提供などの活動を通じて、児童生徒が心の健康を維持し、健やかに成長できる環境を作ることが目指されます。

事件・事故等の緊急対応における児童生徒等の心のケア

児童生徒が事件や事故などの深刻な危機に直面した場合、迅速に対応し、必要に応じて専門機関と連携してサポートを提供します。

 

スクールカウンセラーのやりがい

スクールカウンセラーの業務は多岐にわたりますが、その全てが児童生徒の心の健康を支え、児童生徒が安心して学校生活を送ることができるセーフティネットとなります。
学校という場所は、児童生徒が一日のうちのほとんどを過ごす場所です。家庭内のトラブル、学校生活のトラブルによって問題を抱える児童生徒が多数存在している現在、学校や家庭ではない第3者の立場から児童生徒のメンタルをケアし、生徒一人ひとりと向き合うことができるのもスクールカウンセラーならではのやりがいです。
スクールカウンセラーの仕事は、児童生徒の健やかな成長を支援するだけでなく、児童生徒の命も守ることができる仕事です。その仕事には大きな責任が伴いますが、それだけに大きなやりがいを感じることができるでしょう。

 

スクールカウンセラーになるには

スクールカウンセラーになるには「公認心理師」や「臨床心理士」など心理に関する専門知識と経験を有していることが求められます。
2017年に公認心理師の資格が始まるまでは臨床心理士の資格を取得することがスクールカウンセラーになるための主要なルートでした。
臨床心理士は民間資格であり、臨床心理士になるには、日本臨床心理士資格認定協会が実施する資格試験に合格することが必要です。資格試験を受験するためには、指定大学院または専門職大学院を修了し、所定の条件を満たしていることなどが求められます。また、臨床心理士は5年ごとに資格を更新する必要があります。
2017年度から始まった公認心理師は国家資格で、大学で実習や演習を含む25科目、大学院でも実習を含む10科目を履修することが必要です。大学院に行く代わりに認定施設で2年以上の実務経験を積んで受験するルートもあります。

また、公認心理師や臨床心理士の資格を取得していなくても、精神科医や都道府県または指定都市が児童生徒の心理に関して高度に専門的な知識および経験を有していると認めた人など、一定の学歴と業務経験があれば、スクールカウンセラーに準ずる者として、就職することも可能です。
公立学校のスクールカウンセラーは、都道府県または指定都市の教育委員会が選考し採用しますが、私立学校の場合は、個別で採用します。

(作成:お仕事ジャーナル編集部S)

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