おすすめの私立学校紹介「神戸海星女子学院中学校・高等学校」
記事更新日 2024.08.02

おすすめの私立学校紹介「神戸海星女子学院中学校・高等学校」

「働く」という観点での私学の魅力や、人材育成についてお話を聞かせていただくコーナーです。
今回は、神戸海星女子学院中学校・高等学校の野手数弘校長にお話を伺いました。

「心の教育」✕「知の教育」の融合

──貴校ではどのような理念・教育を大切にしているのでしょうか。
野手校長 神戸海星女子学院中学校・高等学校はカトリック系のミッションスクールとして、フランス人シスターによって設立されました。「真理と愛に生きる」という建学の精神は、一人ひとりが「神から愛されている存在」としての自覚を持ち、自尊感情や他者と共に生きようと志す人間の育成をめざしています。
同じように仲間も価値ある存在であることを認め、相手のことも大切にしていく。異文化理解教育では、異なるバックグラウンドを持つ海外の人に対しても、変わらない態度で接することのできる寛容な心を育み、それが奉仕の精神や社会貢献につながっていきます。これらを「心の教育」と位置づけ、私たちのバックボーンとなっています。

バックボーンとなっている「心の教育」の一環として、キリスト教の精神を学ぶ生徒たち

──現在の教育への具体的な取り組みを教えてください。
野手校長 奉仕の心と国際性を身につける「心の教育」に加え、社会で戦う武器としての「学力」を高める「知の教育」があります。こちらは「自ら進んで学ぶ」姿勢を育てるための土台教育から、大学や社会に出てからも意欲的に学び続ける力を養います。心と知の教育、この2つを融合させて広がりのある学びを創っているといえますね。
また先ほど設立時のお話をしましたが、このルーツは今も大切にしています。中3から高3までの選択科目としてフランス語があり、高2の修学旅行ではフランスを訪れ、地方都市に息づく文化や生活を知るとともに、修道院を訪問するなどのカトリック校ならではものとなっています。

 

高校からの募集は行わない完全中高一貫校が育む風土

──学校の雰囲気はどのような感じなのでしょうか。

野手校長 本校は高校からの募集は行わない完全中高一貫校で、1学年約150名の同級生が互いの個性を尊重し、認め合いながら学校生活を送ります。この校風が好きで小学校から高校まで12年間通う生徒も多い。コース制ではなく、クラス分けも、内部生と外部生が混ざった状態で行い、6年間シャッフルしながら進級し、部活動や行事も共に取り組むことで絆を深めていきます。
またアクティブラーニングや探究学習に焦点が当たる前から、当校の学びは探究的な内容でした。福祉教育として社会奉仕や探究やSDGsにつながる活動は昔からあり、有志生徒でつくる「社会奉仕グループ」が半世紀以上も自主的な奉仕活動を続けています。カトリックの精神から社会課題を考える活動を通して、「人に喜んでもらう」という経験が生徒自身の喜びとなる。その結果として、社会で役立つ生徒が育ってくれればと願っています。

生徒たちは互いを尊重し、認め合いながら6年間を共に過ごす。

 

「働きがい」と「働きやすさ」が両立する

──教員の職場環境はどのような雰囲気ですか?
野手校長 ひとことで言えば、「働きがい」と「働きやすさ」の両方を備えた環境といえます。まず「働きがい」については学力レベルや向上心の高い生徒が多いため、教員の本分である学習指導に手応えがある。熱心に教えれば教えるほど生徒は期待に応えてくれますよ。
次に「働きやすさ」。神戸海星はシスターが設立した経緯から女子教員が多かったこともあり、「集中して仕事をして早く帰る」という風土が育まれてきました。生徒は基本17時下校、部活の公式試合や学院祭(文化祭)の前でも17時半には完全下校させます。教員も次の授業の準備をして、その大半が18時頃には帰路につき、19時には学校に誰もいない状態となる。といって出勤が早いわけではなく、拘束時間も短い。本来の教育活動に専念できる環境といえるでしょう。

──職場の環境づくりのために何か取り組みをされているのでしょうか。
野手校長 そうした風土に加えて、業務の繁忙期には働く時間を延長し、その分閑散期は短縮したり長期休暇に振り替えるなど勤務時間を調整できる変形労働時間制を導入しました。まだ2年目ですが少しずつ定着し、上手く機能しはじめていますね。

──学校の佇まいも趣がありますね。
野手校長 11年前に耐震を兼ねた改築をしていますが、歴史を紡いできたクラシックな雰囲気は残しました。今も教卓は趣のある木製であり、教室の床も木のままです。働く環境としても、落ち着いた雰囲気といえるではないでしょうか。

校内には緑も豊かで落ち着いた雰囲気が漂う。春には桜が咲き誇る。

 

教員、在校生、卒業生も含めた「海星ファミリー」

──貴校の先生方はどのような方たちでしょうか。
野手校長 教員の男女比はほぼ同数、多少女性が多い感じです。教員の仲が良く、離職率もとても低いんです。結婚や出産というライフステージの変化にも対応できる制度も整っているので、新卒で教員になり定年で退職されるまで「神戸海星一筋」という方がほとんどです。ある意味、「海星ファミリー」のようなものですね。

──教員と生徒との関係はどのような感じですか?
野手校長 教員同士のアットホームで個性を尊重しあう関係が、生徒にもいい影響を与えています。当校は卒業生が頻繁に訪ねてくる学校なんです。懐かしさからだけではなく、自分自身の原点に立ち返るために訪れる卒業生も少なくありません。それほど中高時代の学びとそこで得た人間的な絆は、人生に大きな影響を与えているようです。
また離職率も低いため、いつ行っても恩師に会えるという点も大きく、生徒との結びつきを強める土壌にもなっています。先ほど申しましたファミリーというのは、教員、在校生、卒業生も含めたものになっており、とても濃厚な絆といえます。

 

「温故知新」を大切に、柔軟に変化していく

──神戸海星の教員にとって、大切なマインドとはどのようなことでしょうか。
野手校長 「教育は人なり」と言われますが、教育に大切なのは困っている人に手を差し伸べられる誠実さや優しさ、といった人間性です。
「一人ひとりを大切にする」というマインドを持ち、一人ひとりに目を向けて学力を伸ばしたり、あるいは問題を抱えていたら向き合って丁寧に解決していくこと。それこそカトリックの精神です。また生徒はもちろん、保護者に対しても優しく寄り添ってくれる人に来て欲しいですね。

──具体的な採用プロセスについても教えてください。
野手校長 オーソドックスな方法です。採用サイトを通じてアクセスしてもらった方に、第一次の書類選考、二次の筆記試験を経て、模擬授業と面接を行います。模擬授業では当日に課題が与えられ、20分準備をして20分間授業をしてもらいます。

──今後の神戸海星はどのように進化していくのでしょうか。
野手校長 宗教的なバックボーンを伝統として守りつつ、「心の教育」をしっかり受け継ぎ土台を固めた上で、今の時代にあった学力を「知の教育」によって身につけていく。コロナ禍以前に整備したICT環境を活用し、授業の幅は広がっています。それによって生徒たちのアウトプットやディスカッションなどコミュニケーションの能力も向上しました。
基礎的なものは変わらなくても、昔からある伝統に新しいものを取り入れながらふくらませていく、それが神戸海星らしさにつながるのではないでしょうか。ですから、「温故知新」の精神を大切にしていきたいですね。

──最後に教員を目指す人にメッセージをお願いします。
野手校長 教育や学校を取り巻く状況はめまぐるしく変化していますが、教員としてのやりがいは今まで以上にあります。良い生徒や仲間に囲まれた環境で、情熱を持って取り組んでくれる方を求めています。当校であれば充実した教員生活を送れると思いますので、「海星ファミリー」の一員として一緒に働けることを願っています。

 

#プロフィール
野手 数弘(のて かずひろ)
神戸海星女子学院中学校・高等学校 校長
#学校INFO
神戸海星女子学院中学校・高等学校
女子高校・中高一貫校・高校募集なし
https://www.kobekaisei.ed.jp/jr-high/
〒657-0805 神戸市灘区青谷町2丁目7番1号
TEL:078-801-5601(代表)
JR灘駅・阪急王子公園駅、徒歩約13分~16分。阪神岩屋駅、徒歩約15~18分。
  • 私学のお仕事ナビ│私学のお仕事を検索する