おすすめの私立学校紹介「同志社中学校・高等学校」
「働く」という観点での私学の魅力や、人材育成についてお話を聞かせていただくコーナーです。
今回は、同志社中学校・高等学校 副校長の竹山幸男先生と中学校の社会科教諭の井口和之先生、校務センタースタッフの古城郷さんに、同志社中学校の教育についてお話を伺いました。
リベラルアーツ教育を基盤に、新時代を切り拓く学び
──貴校ではどのような理念を大切にしているのでしょうか。
竹山副校長 創立者・新島襄の「自由・自治・自立」の精神を受け継ぐ同志社中学校は、創立149年を迎えました。大きく変化する社会を見据え、伝統のリベラルアーツ教育の上に、新時代を切り拓く学びを創出しています。新島襄がキリスト教主義教育を基本とした学校を作りだしたように、既存の枠を越えてチャレンジするのは、同志社創立時からの変わらぬ文化といえるでしょう。
──教育への具体的な取り組みを教えてください。
竹山副校長 大きく特徴を上げるとすれば「キャンパスの魅力」「学びの体験が豊富で、中学で日本一、世界一に出会える」「同志社大学までの推薦進学制度」の3つでしょうか。2010年に移転したこのキャンパスはレンガ建ての校舎が緑の木々に囲まれ、新島襄の学んだアメリカのニューイングランド地方の大学やボーディングスクールを彷彿とさせるものとなっています。
思春期の心身の成長を包む「ゆりかご」のようなキャンパスで、生徒たちは伸び伸びと学ぶ
「学びの体験が豊富で、中学で日本一、世界一に出会える」に関しては、早い段階から知的好奇心・探究心を刺激するために、『同志社中学校 学びプロジェクト(以下、学プロ)』と『国際交流プログラム』を用意しています。『学プロ』ではSTEAM・工作・実験やプログラミング教育、大学の研究室や企業への訪問、フィールドワーク体験など多彩な内容で、その数は年間300を超えています。また20を超える国際交流や“越境”を体験するプログラムも国内外に幅広く展開し、これまでの学校の枠を超えた様々な学びの体験から自分の可能性に気づく機会となります。
中学2・3年生が挑戦する「ターム留学」は、カナダ・アメリカ・ニュージーランド・オーストラリアに展開
そして高校、大学への推薦進学制度があり、進学に関して担保されているからこそ、受験指導にとらわれない自由な発想で教育に臨める環境があります。このような自由で多彩な教育活動が評価され、今では岐阜や名古屋方面からも中学校で50名近くの生徒が、新幹線で通学しています。
生徒の知的好奇心・探究心を刺激するキャンパスデザイン
──学校の雰囲気はどのような感じでしょうか。
竹山副校長 近畿の私立中学校では唯一「教科センター方式」を採用しています。これは教科ごとにエリアを設定して教科専門の教室を配置したデザインで、授業ごとに生徒が教室を移動する国際標準のスタイルです。教員は授業のための十分な準備をして生徒を迎えることができ、授業のクオリティアップにつながります。また教室と隣接した「メディアスペース」には、教科関連の資料や書籍、生徒の作品や発表物などが並んでおり、自由に使えるワークスペースも設置。疑問に思ったことはすぐに調べ、発展的・探究的な学びにつながる空間となっています。
メディアスペースでは、各教科による授業はもちろん、休み時間や放課後も多くの生徒が自由に活動している
井口先生 ポスターやオブジェなどの制作やディスカッション、プレゼンテーションなどを中心とした授業に取り組むことを自在にするため、通常教室の倍の広さで、さらに水場もある「社会科演習室」を用意。このような教室環境により、生徒たちは社会との接点が増え、発信力も高まりました。
同志社中学校の教員・スタッフになる魅力とは
竹山副校長 生徒にも教員・スタッフにも、自由に積極的に活動できる場があってはじめて、新しい学びのスタイルが花開きます。同志社の長い歴史の中で脈々と引き継がれてきた自由な校風こそ、新たなアイデアやイノベーション、創造性を生み出す源泉です。学びや学問の世界は無限に広がっています。その大航海に、夢と希望にあふれた生徒たちとともに、「伴走者」として学び続けられることこそ、その魅力の中心だと思います。
「学びプロジェクト」で訪問したスーパーカミオカンデでは、ニュートリノの検出現場を体感
井口先生 例えば、2013年度にスタートした「学プロ」の企画はすべて教員が発案したもの。本物の学びに触れる機会として、学校を開いて社会や世界とつながる、授業とは異なる自由度の高い学びの場で、生徒とともに学び合う教員の姿が、生徒の知的好奇心・探究心を高め、「学プロ」で得た経験が教員自身の学びと成長につながる面もあります。
──新しいことに取り組むための教員のサポート体制はどのようなものでしょうか。
竹山副校長 担任になった場合、生徒・保護者対応をサポートする専門家やスタッフの配置も充実しており、必要に応じてチームカンファレンスも行われるので、一人で抱え込んで悩むことはありません。教員が「日常」に忙殺されないようなサポート体制をしっかり整えています。さらに、教材研究や授業づくりなどに用いられる教員研究図書費なども充実しており、新しい学びの企画・研究を生み出していくことに対して、積極的な支援体制が整備されています。
採用も開かれたものへ ――さまざまなスタッフの方々とともに
──他業種から転職された方はいらっしゃいますか。
古城さん 私は広告業界からの転職組です。前職では企画営業や制作プロデューサーとして、生徒募集の広報活動支援で数多くの学校を訪れましたが、同志社中学校の、他とはまったく違う教育のあり方に強く惹かれました。今は校務センター(事務局)で学校広報なども担当しながら、地域・企業連携の課外プロジェクトや、社会人・大学生の方々をゲストにした「学プロ」を生徒と共に運営しています。
──同志社中学校では、どのような方に来ていただきたいですか。
竹山副校長 教員はもちろん、さまざまな形で学校の教育プログラムを推進していただけるスタッフの方々に同志社中学校に関わっていただきたいと考えています。創立者・新島襄のようにグローバルな視野を持ち、知的好奇心や探究心を高め、イノベーティブなモノやコトを生み出していける人物を育める授業をはじめ、受験勉強に重点を置かない学びの構築は、別の意味での大きなチャレンジでもあります。もちろん、生徒一人ひとりに寄り添い、大切に育むというキリスト教主義教育を基本にしています。教員やスタッフも協働的な関係性のなかで、試行錯誤しながら新しいものを生み出していきたいですね。今秋からも、同志社中学校キャンパスを舞台に、学校や学びの未来を考える「OPEN SCHOOL LAB.」を2か月に一度開催していく予定ですので、関心を持っていただいた皆さまはぜひご参加ください。
▼▼次回は12月14日(土)に開催します▼▼(noteで最新情報を発信)
https://doshisha-jhs.note.jp/
受験という枠組みに捉われず、生徒と共に成長できる環境
創造性を育む自由な環境で、本物の教育を
──今後、同志社中学校はどのように進化していくのでしょうか。
竹山副校長 「Education2030」やSDGsなどの影響を受けて、日本の学習指導要領、大学入試の変革も求められています。その延長線上でよく語られるのが、一人ひとりの多様な幸せ(Well-being)や、主体的に考え行動していく姿勢(Agency)を育む「学習者主体」の教育です。これこそ、創立者・新島襄がめざしたキリスト教主義教育の理念とも合致します。その先進性に時代が追いついてきた感があります。
──同志社中学校がさらに進化し続けるために、何が必要だと考えますか。
竹山副校長 生徒に学び続けることの大切さを伝えるためには、教員も学び続ける必要があります。新島襄が唱えた「倜儻不羈(てきとうふき)」という言葉があります。才気にすぐれ、独立心が旺盛で、従来の枠組みを超えた発想を生み出し行動していくという意味で、創立以来変わらぬ理想の人間像です。この教育理念の先進性、漸進性を理解して実践することが、本物の教育をめざすために必要です。
連綿と続く同志社の魅力をお話いただいた