部活動指導員
記事更新日 2024.11.20

部活動指導員

部活動指導員とは

部活動指導員とは、校長の監督を受け、スポーツ、文化、科学などに関する部活動の技術指導や、大会、練習試合といった学校外での活動の引率に携わる職員のことを指します。2017年4月1日から、学校教育法の一部改正により「部活動指導員」が制度化され、それまで学校教員や外部指導者が行ってきた部活動指導に、部活動指導員が学校職員として関わることが認められました。
部活動指導員が制度化された背景には、部活動にかかる教員の負担軽減があります。これまでは、部活動は教員が担当することが当たり前でした。部活動を指導することがやりがいという先生も少なくはありませんが、学校事情で未経験の部活動を担当するなどの対応をしなければいけないことが多くありました。たとえ、外部指導者に技術指導を依頼できたとしても、そのほかの事務的な作業や練習試合や大会への引率、保護者への連絡といった業務は教員が担当する必要があり、通常業務に加えて、部活動にかかる負担が大きくなれば、教員はゆとりのある働き方ができず、大きな負担になっていました。
部活動指導員が学校に導入されることで、専門性を持った指導員から部活指導を受けられるなどの多くのメリットがあり、教員の負担の軽減以上の効果が期待されています。

 

部活動指導員の仕事内容

部活動指導員は部活動に関わるあらゆる指導・手続き・管理業務を担っています。
部活動指導員の業務は大まかに次の9つに分けられます。

実技指導

部活動の技術向上を目指し、具体的な技術や戦術の指導を行います。

安全・傷害予防に関する知識、技能の指導

生徒が安全に活動できるように、傷害予防の知識や技能を教えます。

学校外での活動(練習試合や大会等)の引率

練習試合や大会など、学校外での活動に生徒を引率し、指導やサポートを行います。

用具・施設の点検、管理

部活動で使用する用具や施設の点検と管理を行い、安全に使用できる状態を保ちます。

部活動の管理運営(会計管理等)

部活動の運営に関わる管理業務、特に会計管理を行います。

保護者等への連絡

部活動に関する情報を保護者に伝え、連絡を密に取ります。

年間・月間指導計画の作成

部活動の年間および月間の指導計画を作成し、計画的に活動を進めます。

生徒指導に係る対応

部活動を通じて生徒の指導やサポートを行い、問題が発生した場合には適切に対応します。

事故が発生した場合の対応

事故が発生した際には迅速に対応し、生徒の安全を確保します。

 

 部活動指導員のやりがい

部活動指導員は部活動を通して生徒の指導にかかわることができるのが大きな魅力です。部活動指導員は大会や練習試合などの際も単独で引率ができるため、学校外活動の責任者として生徒との関わりも深まり、生徒の成長に多く関わることができます。また、保護者とのつながりもできるため、幅広い視点で生徒をサポートすることが可能です。
従来の部活動では地域の外部指導者などがボランティアとして指導を行うことが多かったのですが、部活動指導員は制度化によって報酬が発生するようになり、仕事として収入を得ながら部活動の指導に専念することができます。
部活動指導員は、スポーツだけでなく、吹奏楽のような文化系の部活動の指導も可能です。学校によって募集する分野や求められる人材が異なりますが、自分の経験を生かして働くことができれば、自身のキャリア形成にも繋げることができます。

 

部活動指導員になるには

部活動指導員は「指導するスポーツや文化活動等に係る専門的な知識・技能のみならず、学校教育に関する十分な理解を有する者」と法律で規定されています。その細かい条件は自治体や各学校によって異なります。
指導にあたっては、指導する部活動に関する知識、生徒への指導やコーチング技術、事故や怪我が起こった際の対処能力、リーダーシップやコミュニケーション能力が必要になってくるでしょう。
また、部活動指導員になる際に一定の資格を必須とする場合や、〇年以上の中学や高校、大学での部活動指導経験を求める自治体もあります。そのため、自分が部活動指導員を目指す地域の自治体や学校が発表する募集要項を必ず確認し、その条件を満たす必要もあります。
部活動指導員になる際に持っておくと有利になる資格をいくつか紹介します。
部活動指導員検定試験(日本部活指導研究協会」は、一般社団法人日本部活指導研究協会認定による民間資格です。3級から上級までの4つのランクがあります。試験内容は、3級の場合、文部科学省が策定した「運動部活動での指導のガイドライン」にもとづいて、「学校一般科目」に関する動画講習を受講後、テストに臨み、正答率80%以上が合格基準です。もしくは、会場で講習を受けた後、専用ワークシートを完成させ、審査によって認定を受けられます。
スポーツ指導者資格(JSPO)」は、公益財団法人日本スポーツ協会(JSPO)認定による民間資格です。スポーツ指導者基礎資格として、「スポーツコーチングリーダー」などの資格を取得することができます。
部活動指導員には部活動に関する幅広い知識が求められるため、このような資格を取得することでより信頼される人材となるでしょう。さらに、鍼灸師や柔道整復師などの医療系国家資格は治療が可能になる資格であり、万が一、生徒がケガをした際に応急処置が可能になります。
今後、部活動の指導者を目指したいと考えている場合は、まずは専門的な資格取得から取り組むとよいでしょう。

(作成:お仕事ジャーナル編集部S)

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