学校栄養士
記事更新日 2025.01.20

学校栄養士

学校栄養士とは

学校栄養士とは、栄養バランスのよい給食の提供を通して児童・生徒の成長を支えるとともに、日々の給食を「教材」として、何を、どれくらい、どのように組み合わせて食べるとよいのかを伝える仕事です。

「食育」という言葉をよく耳にするかと思いますが、日本では、急速な経済発展に伴い、食を取り巻く社会環境が大きく変わりました。米食に代わってパンや麺食が増加し、インスタント食品の消費も増えるなど、大人だけでなく児童・生徒においても食生活の乱れが見られるようになりました。

望ましい食習慣の形成には小さい頃から食に関する意識を高め、食を通して生きる力を身に付けることが重要であるという考えのもと、平成17年には「食育基本法」という法律が制定され、食育が推進されるようになりました。

この食育を推進するために大きな役割を担っているのが「学校栄養士」です。
学校には「栄養教諭」という職種もあり、どちらの職種も、学校給食の栄養管理を行い、成長期に必要な適切な食事を提供することで、子どもたちの健全な成長を支える役割を担っています。

学校栄養士の仕事内容

学校栄養士の仕事内容には次のようなものがあります。

栄養管理・給食献立の作成

学校栄養士にとって重要な業務となるのは、栄養管理と給食の献立作成です。

献立を作成するときのポイントとして、予算や食材があげられます。学校栄養士は限られた予算の中で、育ち盛りの子どもたちに必要な栄養素とバランスを考えて、1カ月ごとの献立を作成します。
また、節分やひな祭りなど季節の行事に合わせたメニューを提案したり、旬の食材を使ったりと、工夫しながら献立を考えます。

近年では「食育」の観点から、地域で採れた食材を使用した郷土料理を献立に盛り込み、「地産地消」や「食文化の継承」に取り組む学校も増えています。

衛生管理

給食による食中毒を防ぎ、児童・生徒に安全安心な給食を提供するためにも、衛生管理はとても重要です。調理を行う給食室や配膳環境の衛生管理を徹底することや、調理に関しても決められた手順・時間で食材を調理し、提供できるよう、調理員への指示やサポートを行います。

給食だよりの作成

給食だよりでは、季節の行事食をその由来とともに紹介したり、給食のメニューレシピを掲載して調理ポイントを伝えたり、各家庭でも安全かつ栄養バランスを考えた食事が摂取できるよう、食に関する情報を発信したりします。
給食だよりを通して、学校栄養士としての知識や献立に込めた思いを児童・生徒やその家庭に伝えることも、学校栄養職員の大切な業務です。

食育に関する授業の実施(栄養教諭のみ)

栄養教諭の資格があれば 食に関する指導(授業)も行うことができます。
肥満や食物アレルギーなどの児童・生徒に対する個別指導や保護者への栄養指導、教科や学校行事と連携した授業などを行います。

学校栄養士のやりがい

学校栄養士の仕事は、安全で栄養バランスのとれた給食を提供することだけではありません。どうしたら児童・生徒がおいしく給食を食べられるのかなど、児童・生徒に寄り添った献立作りをすることが求められます。

例えば、野菜が苦手な子がいた際に、苦手意識を持たずに食べられるように、下ごしらえを工夫したり、児童・生徒が好むような味付けに調理したりするなどの工夫を行います。苦手な食材も、下ごしらえや調理法、彩りに気を配るなどのちょっとした工夫で、児童・生徒の食欲を増やすことができ、栄養士としての知識や技術が発揮できる絶好の機会となります。

育ち盛りの児童・生徒の食事を管理することは、大きな責任があり、大変な仕事です。
しかし、児童・生徒が、自分が考えた献立メニューを楽しく・おいしく食べる姿を見られることは学校栄養士にとって大きなやりがいとなります。食は児童・生徒の健康に直結するものだからこそ、給食を通して児童・生徒の心と身体の健やかな発達に貢献できる学校栄養士の仕事には大きな魅力があると言えます。

学校栄養士になるには

学校栄養士になるためには、栄養士または管理栄養士の資格の取得が必要です。

栄養士の資格は、栄養士養成課程のある2~4年制の専門学校や短大・大学に通い、卒業と同時に取得することができます。
栄養士として所定の実務経験(1~3年)を積むことで、管理栄養士国家試験の受験資格を得ることができます。

また、栄養教諭になるには、同じく栄養士または管理栄養士の免許と、栄養教諭普通免許状の取得が必要です。また、実際に栄養教諭として勤務するには各都道府県が実施する教員採用試験に合格する必要があります。現在、学校栄養士として勤務している人が、栄養教諭の資格を取得することも可能です。その場合は、一定の在職経験があり、都道府県教育委員会実施の講習で所定の単位を修得することが資格取得の条件となります。

公立学校に勤務する際は、栄養士・管理栄養士の資格を取得した後に、各都道府県が実施する学校栄養士の採用試験を受験します。 私立学校に勤務する場合は各学校の募集に応募し、試験に合格する必要があります。

((作成:お仕事ジャーナル編集部S)

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