学校のお仕事図鑑「養護教諭」
記事更新日 2024.08.20

学校のお仕事図鑑「養護教諭」

養護教諭とは

養護教諭とは主に、小・中・高校に配属される「保健室の先生」のことです。学校でケガをしたり体調を崩したりしたとき、保健室に行くと対応してくれるのが養護教諭です。皆さんも学校生活の中で1度はお世話になったことがあるのではないでしょうか。養護教諭は生徒が安全かつ安心して学校に通うことができるように様々な仕事を行っています。

 

養護教諭の仕事内容

児童生徒の健康管理

児童生徒の健康管理は養護教諭の重要な仕事の一つです。
学校で定期的に行う健康診断については、養護教諭が計画を立てて準備・指導を行います。医師の手配や補助だけでなく、結果があまり良くなかった児童生徒に対して、経過観察や健康状況のチェックを行います。
遠足や林間(臨海)学校、修学旅行といった校外行事や体育祭などの運動行事での健康管理、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染病予防・報告も養護教諭の仕事です。

 

健康相談

健康相談は、児童生徒の心身の健康問題の解決や学校生活への適応支援をするうえで大切な役割を担っています。具体的には保健室に来た児童生徒の相談に乗り、身体の悩みや健康についてのアドバイスを行います。ケガや病気を抱えている児童生徒に対しては、安心して学校生活を送れるようにアドバイスして、他の児童生徒への理解を得るためのフォロー、担任教諭との情報共有などを行います。

 

保健教育

保健教育とは、日常生活において児童生徒が自身で健康管理を行えるように指導することです。保健だよりをはじめとしたプリント、保健室や教室、職員室内の掲示のほか、学級活動やホームルーム、保健の授業を通して、健康管理に関する情報提供や注意喚起などを行います。具体的には、虫歯予防のための歯磨き方法や風邪をはじめとした感染病を防ぐための手洗いうがい・消毒の呼びかけなどを行います。性教育指導については、担任教諭や保健体育教諭と連携して行います。

 

救急処置

救急処置とは、ケガや病気の児童生徒に適切な応急処置を行うことです。養護教諭が行うことができる救急処置の範囲は、医療対象にならない程度のケガや病気の手当てと、医療処置が必要となった場合に児童生徒が医療機関を受診するまでの処置です。ケガをした児童生徒の保険申請についても、養護教諭が行う場合があります。

 

心理的なケア

家庭や学校生活のなかで、心の悩みを抱えた児童生徒に対し、心理的なケアも行います。悩みの種類や深刻度、心の状態は児童生徒によってさまざまです。保健室で悩みを聞いてもらうだけで気が晴れる児童生徒もいる反面、いじめや家庭環境の問題で深く傷ついている児童生徒や、クラスになじめない、勉強についていけないなどの理由から教室に行くことができず、保健室登校をする児童生徒もいます。
養護教諭だけで対応が難しい場合は、担任教諭やスクールカウンセラーと連携し、保護者等と情報共有しながら対応していくこともあります。

 

環境衛生管理

環境衛生管理は、学校内の空気検査の他、水道やプールの水質検査を行い、衛生面で問題がないかを確認することです。教室内の換気を促すことや、児童生徒の目の健康を維持するために教室内の明るさを測定することもあります。文化祭などで食品や飲料を扱うお店を出す場合は養護教諭が衛生面の管理を行います。

 

養護教諭のやりがい

担任や家族、友だちには相談できないことも養護教諭になら話せる、という生徒も少なくなく、クラス担任や教科担任などの他の教師とは違う立場から児童生徒に寄り添い、成長を促すことができることが養護教諭の魅力です。
悩みを抱える生徒の話をじっくりと聞き、生徒自身で解決できるように根気よく寄り添うなど、養護教諭の仕事は柔軟かつ忍耐強い姿勢が求められます。寄り添った結果、児童生徒の成長が見られることは養護教諭にとって大きなやりがいになるでしょう。
児童生徒から信頼され、ときには感謝される養護教諭を目指して自己研鑽していくことで、理想とする養護教諭の姿に近づくことができます。

 

養護教諭になるには

養護教諭を目指すにはいくつかのルートがあります。一般的なのは養護教諭の一種免許状が取得可能な4年制大学に進学し、免許を取得する方法です。
養護教諭養成課程は、教育学部、保健学部、看護学部などに置かれることが多いので、これらの学部に入学し、単位を取得することで免許状を取得することができます。短期大学でも取得できますが、取得できる免許状は養護教諭二種免許状になります。
看護師として医療機関に勤務してから養護教諭を目指す人や保健師として行政機関に勤務してから養護教諭になる人もいます。看護師や保健師の資格を取得している人は文部科学大臣が認定する「指定教員養成機関」で所定の単位を取って卒業すると、一種免許状が取得できます。これらの経験があるとより専門的な知識があると認められ、教員採用試験で有利になることもあります。
養護教諭になるには免許状を取得した後に、都道府県などの自治体の教員採用試験、私立学校においては各学校の採用試験に合格し、採用される必要があります。
養護教諭は基本的に1つの学校につき1人のため、倍率が非常に高くなります。教員採用数が多い都市部の方が採用倍率が低く、地方では採用倍率が高くなる傾向にあります。公立学校の場合、自治体によっては倍率が20倍~30倍になることもあり、平均して8倍前後と非常に狭き門です。
採用試験では筆記試験と基礎知識と面接が課されます。保健室の先生は、健康に関する専門知識を持っていることはもちろん、児童生徒が相談しやすく落ち着ける人柄であることも求められます。

(作成:お仕事ジャーナル編集部S)

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