
教師として勤務する上で自由度の高い私学の魅力について
私学教師が感じる自由度の高さは、その教育環境の中で大きな魅力と言えるでしょう。特に、授業内容や指導方法、教材選びにおける裁量の広さは、私学ならではの特徴と考えることができます。この自由度は、教育理念や学校方針に基づきながらも、創造的なアプローチを許容し、より良い教育実践を可能にします。今回は「自由度」という視点で、私学で働く良さについて見ていこうと思います。
<カリキュラムの自由さ>
まず、カリキュラムの柔軟性について考えてみましょう。私学では、教育カリキュラムが学校独自の教育理念に基づいて設計されています。そのため、公立学校のように、統一された指導要領に縛られることがなくカリキュラムのカスタマイズが可能です。
例えば、英語教育に力を入れるため、授業時間数を増やし、英語学習をメインとした校外学習や行事、プレゼンテーションの機会などを設けることができます。また、創造力を育むために、芸術や音楽を重視したカリキュラムを採用し、同じようにこれに合わせた行事や特別授業を実施することが可能です(裁量権は各学校によって異なります)。これらはすべて、当該私学の方針に合わせて自由に設計でき、考え方がマッチしていれば指導を担当する教師にとっても大きな魅力となります。
<教材選定の自由さ>
次に、教材の選定における自由度についてです。私学では、学校が独自に教材を選ぶことができるため、教師は自分の授業に最適な教材を選択することができます。
例えば、最新のオンラインリソースやインタラクティブな教材を活用することができ、従来の教科書だけでなく、映画やポッドキャスト、ニュース記事などを取り入れて、生徒の関心を喚起することができるケースがあります。実際に、英語圏のYouTubeチャンネルを教材として取り入れ、日常会話や文化的背景を学ばせることで、生徒の実践的な英語力を向上させた例があります。このように、私学では新しい教材やリソースを自由に選定できるケースが多いため、教師は授業の質を向上させるために多様な方法を取り入れることが可能です。
<指導方法の自由さ>
指導方法における柔軟性も、私学の自由度を象徴する重要な要素です。私学の教師は、学校や教科部会での方針の元、従来の一方向的な講義型の授業にとどまらず、アクティブラーニングや探究学習、プロジェクト型学習など、さまざまな指導方法を選ぶことができるケースがあります。
例えば、理科では、実験を中心にした探究型の授業を実施し、生徒に自主的に課題設定をさせ、それを解決するための実験を行わせている学校があります。この方法は、生徒が主体的に学ぶ姿勢を育むとともに、実際の問題解決能力を高める効果がありました。また、ディスカッションを重視した授業を行っている学校もあります。例えば社会科では、歴史的な出来事に関する異なる立場の意見を生徒に表現させ、議論を通じて批判的思考を養っています。このように、教師は自身の教育理念やスタイルと学校方針とを合わせて授業を設計することができると、より創造的な指導を実現できます。
<評価の自由さ>
私学では、評価基準や進度の調整にも自由度があります。公立学校では、模試や評価基準に基づいた成績が求められることが多いですが、私学ではそれぞれの学校が自分たちの評価基準を設定することができ、生徒一人ひとりの学習状況に応じた評価が可能な場合があります。
例えば、学期ごとのテストだけでなく、プロジェクト遂行やプレゼンテーションを評価の一部として取り入れ(パフォーマンス評価)、生徒の総合的で探究的な学びを評価しています。この柔軟な評価方法は、生徒の学びの多様性を尊重し、成績だけでなく学びの過程そのものを重視することができます。
<行事の自由さ>
また、学校行事や課外活動における自由度も魅力です。私学は行事や部活動の内容にも柔軟性があり、教師は自分たちの興味や専門性を活かした企画をすることができます。
例えば、体育科が主導してアウトドア活動を取り入れた校外学習を企画し、音楽科がオリジナルの演劇をプロデュースするなど、自由にプランニングできるケースがあります。これらの活動は、生徒の個性や興味を引き出し、教師にとってもやりがいのある経験となります。
<勤務スタイルの自由さ>
さらには、私学の教師の中にはSNSで発信をしたり、副業をしたりといった人も増えています。より多様な働き方についての刷新は、公立よりも私学の方が、フットワークが軽い傾向にあり、それぞれのライフスタイルに合わせての勤務体系が実現していることがあります。
このように、私学で働く教師は、授業内容、教材、指導方法、評価基準、学校行事、勤務体系などについて、様々な部分で自由度が高くなることがあります(もちろん、学校によって実態は様々ですから、管理職とのコミュニケーションを密に取り、明文化されているルール等以外も確認する必要があります)。
この自由度の高さは、教師の創造力を引き出し、生徒の学びをより深めるための大きな支えとなるでしょう。教師としての意欲や専門性を最大限に活かしながら、子どもたち一人ひとりに適した教育を施していきたいものです。
(作成:お仕事ジャーナル編集部A)