学校のお仕事図鑑「教諭」
学校のお仕事の中で最も代表的な職業である教諭についてご紹介します。教諭は身近な存在の職業と思われることが多いですが、その業務内容は多岐に渡っています。
教諭の仕事の内容ややりがいについてご紹介します。
教諭とは
教員免許を持ち、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、幼稚園などの教育機関で児童・生徒を教育する職務についている人のことを「教諭」と呼びます。
教師、先生、教員などとも呼ばれます。
教諭の種類
教諭は学校種によって業務が異なるため、小学校教諭、中学校教諭、高等学校教諭、特別支援学校教諭、幼稚園教諭などと呼ばれます。
また、学校の中でも特に小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、幼稚園の教諭は、教頭、教諭、助教諭、養護教諭、養護助教諭、講師、そして実習助手、寮母などの役職に分かれています。
教諭の主な仕事
教諭の仕事内容は学校種によって異なります。ここでは中学・高等学校の教諭の仕事内容をご紹介します。
指導業務
主に生徒の指導を行う業務です。指導業務の中にもいくつか種類があります。
①教科指導
教科指導は、学校における各教科の学習指導のことをいいます。生徒たちに知識・技能を習得させ、そのことを通して彼らの人格を発達させていく教育的働きかけのことをいいます。
教諭はそれぞれの教科の内容を理解し、習得してもらいやすいように工夫して授業を行います。授業を行うための「授業準備」やより良い授業を行うための「研究」、「授業計画の作成」、「生徒の評価」なども教科指導に含まれます。
②生徒指導
生徒指導は、すべての生徒の人格をより良く発達させ、学校生活がすべての生徒にとって有意義で充実したものになることを目指して行われるものです。
学校教育において、生徒指導は教科指導と並ぶ重要な意義を持つものとされています。
具体的には、規則正しい生活や言葉遣い・挨拶などの生活面の指導や、他者を思いやる心などの道徳面の指導が挙げられます。生徒に問題行動が見られた場合には教諭が指導し、これからの社会生活において自発的に思考・判断・行動できるように導きます。
③進路指導
進路指導は、生徒が自らの生き方を考え、将来に対する目的意識を持って、主体的に自己の進路を選択し、生涯にわたって自己実現を図っていくことができるような能力や態度を育成するために行われます。
学校教育の中で自分の将来に対して考える機会を設け、将来どんな仕事をしたいのか、そのためにどのような学校に進学するかなどを生徒自身で考えられるように指導していきます。
具体的には、進路に関する授業や職場体験を行ったり、進路希望調査をしたり、進路に関する面接を行ったりすることで、生徒が自分の進路をはっきりさせ、自分で納得して進路を選択していけるようにサポートします。
④特別活動の指導
特別活動は、教科外活動のことで学級活動や生徒会活動などのことを言います。教科外活動を通して、個性を伸ばすことや自主的・実践的な態度を育てることを目的としています。入学式や卒業式・修学旅行・文化祭などの学校行事の企画や運営も特別活動にあたります。
担任業務
上記の指導業務のほかに、クラス担任を持つ場合はその担任業務も行います。
①クラス運営
クラス担任となった教諭は、「クラス運営」を行います。クラスの生徒一人ひとりに向き合うとともに、生徒と一緒にクラスを作りあげていく中で、生徒の自主性や主体性を伸ばしていきます。
クラス担任は在籍する生徒の健康状態や生活態度などの観察も行い、変化があった場合はフォローし、改善できるようにします。
②保護者対応
クラス担任は、在籍する生徒の保護者との連絡相談も行います。相談内容によっては、二者面談・三者面談や家庭訪問などの機会を設けて行うこともあります。
まれに保護者からのクレームに対応する場面もあります。保護者と円滑にコミュニケーションをとるためには保護者と信頼関係を築き、誠意をもって対応していく必要があります。
③生徒の評価
自分が担当している教科の評価とともに、担任を持っているクラスの生徒の生活面の評価もおこないます。日々の生活指導の結果ともいえるので、日々生徒と密にかかわり、指導していきます。
学校管理・運営等の業務
教諭は学校管理や運営に関わる業務も担っています。
①学校運営
校長や教頭などの管理職は、学校内の教諭および生徒の管理を行います。学校内を巡回して生徒や教諭の様子を確認し、学校環境の改善を行って、より良い学校生活が送れるようにします。
また、管理職が中心となって生徒の保護者・地域関係者・他の学校と連携し、学校運営をおこないます。
②学年運営
各学年に置かれる学年主任を中心として学年全体の生徒たちを広く指導します。学年主任が中心となって学年経営を行い、クラス担任の業務をサポートしながら、スムーズに学年の活動を行えるように管理します。
③部活動顧問
多くの中学校・高等学校で部活動が行われていますが、その部活動の指導を行うのが部活動顧問です。部活動の技術的な指導はもちろん、安全管理や大会などの引率業務、練習試合や交通手段の手配なども行います。
④養護教諭
養護教諭は、怪我や体調不良などの生徒たちを保健室で処置します。家庭の問題や人間関係の問題、そして心理的な問題などを抱えて保健室に来室する生徒もいるので、そのような生徒の話を聞き、問題を解決できるように寄り添うことも養護教諭の役割です。
教諭のやりがい
教諭は人を育てる仕事です。日々の授業や学校生活の中で生徒たちが様々なことを学び、経験して、大きく成長していきます。その成長を間近で見られるのが教諭のやりがいだと言えます。
また、小学校教諭はほぼ全部の教科を担当しますが、中学や高等学校の教諭は自分が得意であったり、関心のある分野の授業を担当し、指導することができます。自分の好きな教科の楽しさやその教科を学ぶ意義を生徒たちに直接伝えられることは、他の仕事ではなかなか得難いことであり、伝える喜びを感じられる仕事と言えるでしょう。
自分が教えた教科を生徒も好きになってくれ、進んで学ぶようになれば、これ以上喜ばしいことはありません。
また、学校は様々な経験・体験ができる場です。生徒はもちろん教諭もその中で様々なことを経験し、心を震わせるような様々な活動を行うことができます。
例えば学校祭や体育祭などで頑張っている生徒を見て一緒に涙したり、生徒たちを鼓舞するために叱咤激励したりなど、教諭自身も喜怒哀楽を感じながら仕事を行うことができるので、とても人間的な仕事だとも言えます。
学校では毎日様々な出来事に出会います。それに対応する中で様々な人間ドラマを感じられるのが教諭の醍醐味と言えるでしょう。
教諭になるには
大学などの教職課程で、希望する学校・教科の教諭免許取得に関する単位を取得する必要があります。教諭免許を取得した上で、公立学校では都道府県や政令指定都市の教育委員会が実施する教員採用試験を受験して合格すること、私立学校では各学校の教員採用試験に合格することで教諭になることができます。
現在は教諭免許を取得していない人でも、「特別免許状」や「臨時免許状」などを取得して教諭として学校で働くことができます。教諭免許状を取得していないけれど、学校の教諭になりたいという方はこのような方法もあるので参考にしてみてください。