おすすめの私立学校紹介「芝浦工業大学附属中学高等学校」
「働く」という観点での私学の魅力や、人材育成についてお話を聞かせていただくコーナーです。
今回は、芝浦工業大学附属中学高等学校校長の柴田邦夫先生にお話を伺いました。
卒業生と共に理工系のスペシャリスト育成する芝浦工業大学附属中学高等学校
――貴校の特徴を教えてください。
柴田校長 「理工系教育」に力を入れている学校です。系列の大学は、世界で活躍できるエンジニアを育てることを目指しています。その流れの中で、本校も大学との連携を活かして、理工系のスペシャリストを育成しています。わが校の特徴をいかした教育の中で学び、それをいかして、問題解決ができる人材に育ってほしいと思っています。
――貴校の具体的な取り組みを教えてください。
柴田校長 「SD(Self Development)」という自分自身で時間の使い方を考え、知識を定着させる自立学習の時間を、時間割の中に組み込んでいます。生徒がなにかできるようになるのは、教員が教えているときではなく、得た知識をもう一度自分で勉強したり、やり直すからこそできると考えるからです。そして、「SHIBAURA探究」です。学んだ理工系の知識をいかし、設定した社会課題を解決するためにどうすればいいのか、ということをチームごとに研究発表する取り組みです。卒業生にも力を借りています。OBの人材バンクである「芝浦人材バンク」というのがあり、相談すると、生徒たちの質問に答えてくれたり、授業をしにきてくれます。
「SHIBAURA探究」 IT教育に特化した「IT」の授業風景
声があがれば柔軟に対応し、風通しのよさを大事にする職場
――貴校の先生や生徒について教えてください。
柴田校長 教室では、とても穏やかな空気が流れているように感じています。といっても静かというわけではなく、好きなことに夢中に取り組んでいるというイメージです。ドローンなんかがそこら辺で飛び、楽しそうに過ごしています。一見遊んでいるようにも見えますが、それくらい楽しみながら学びを深めてくれているんだなと感じています。先生方は、のびのびとご自身が教えたいことを教えています。「こうしなきゃいけない」という枠にはまったようなものはわが校にはないので、先生たちが先生たちなりに生徒のことを考え、自分の知識や経験を楽しみながら伝えてくれています。
――教員同士の交流も盛んでしょうか?
柴田校長 真面目な話は会議などで行い、普段はたわいのない話をしているという感じです。学年や教科を越えて自然と会話が生まれるような空気ができあがっていて、プライベートな話もしています。サウナサークルみたいなものもあるんですよ。コミュニケーションが盛んで、風通しもいいので、声を上げやすく、なにか検討すべきテーマが浮上したら、意見交換が積極的に行われます。
――意見交換が行われた印象的なエピソードがあればうかがいたいです。
柴田校長 本校の学習指導の基本方針は「授業第一主義」です。学校生活の中で大部分を占めるのは授業の時間です。補習ありきの授業ではなく、その1時間1時間を大切にしようという考えです。しかし、昔は補習や宿題も多く、追加のテストなど、とにかく手をかけていました。でも、生徒たちの実力が伸びているわけではなかった。結局手をかけすぎるスタイルは、教師にとって「やってる感」が出て安心するためでしかなく、本来我々がすべきことである「生徒のため」を今一度考えようと、議論を重ねました。その結果、これまでも不要だと考えるものを、徐々にやめてきました。授業を基本とし、土台を固める。そして「SD」や「SHIBAURA探究」で生徒たちが自ら学びを深めていくという手をかけすぎないスタイルに舵を切りました。今や探究以外の夏休みの宿題の提出もないです。現状に甘んじず、なにか声があがれば、変えるところは変えてきましたし、これからも変えていく学校でありたいと思います。今年度からは高校の探究学習をさらに深めていけるように変えていきます。
「SHIBAURA探究」グローバル教育に特化した「GC」の授業風景
生徒と一緒に楽しみ、学び続ける姿勢を大事に
――採用過程はどのようにすすみますか?
柴田校長 基本的な学力試験と模擬授業と面接ですね。学歴や職歴などは関係ありません。新卒の方も中途採用の方も流れはほとんど同じです。
――貴校で求められる人物像は
柴田校長 うまく生徒と接することができ、生徒と共に授業や日常生活を楽しんでくれる人ですね。教員が全力で楽しむからこそ、生徒たちも楽しい気持ちになれます。そしてそういう時間を過ごしていく中で、生徒たちは自分なりに課題を見つけ、成長していきます。教員が一人で頑張って、「私が教えたら〇〇ができるようになるはずだ!」みたいな、ガチガチの姿勢の方はうまくいかないと考えます。たしかに最低限の学力は持っていてほしいですが、指導力という意味でいうと、我々と一緒に伸ばしていっていただければかまいません。
――教員以外の職種を経験されている方もいらっしゃいますか?
柴田校長 もちろんいらっしゃいます。かく言う私も、最初から私立の教員ではなかったんです。この世界に入ったのは33歳くらいです。
――社会人経験をどのように生かすことができますか?
柴田校長 進路指導などでは、過去の経験を話してくださるので非常に頼りになります。あとは、教育の世界でいたわけではないからこそ持っている別の感覚で生徒を見ることができ、その視点から言葉をかけてあげることができると思います。私自身、教育の世界に入った時に思いましたが、一般企業と学校では本当にギャップが大きく、世界が全然違います。教育以外の世界で培われたその経験はとても貴重です。
生徒も先生も「自分で考え、学び、行動をして成長をする」
――人材育成の取り組みは?
柴田校長 基本は「自分で考えて自分でやれ」です。もちろんアドバイスなどは行いますが、自分で課題に気づき、考え、行動をしないと、絶対に進歩はありません。その考え方を基本においたうえで、学ぶ機会をたくさん設けています。新人で入った時には学校内での研修や、外部の研修にも参加し、社会人としてのマナーなどを身につけていただきます。
ほか、新卒に限らず学校全体としても年3回くらい研修を行います。また、外に出て学び経験することが非常に重要だと考えています。そのため、ご自身の興味がある研修があれば、学外の研修にも積極的に参加してもらっています。都内に限らず地方でもぜひ行ってきてください! というスタンスです。
教員の研修風景 活発に意見交換が行われます。
――貴校で教員になる魅力は?
柴田校長 最低限のルールはありますが、いい意味で自分のやりたいことをやれますね。例えばですが、授業だけではなく、先生たちの趣味などを教える講座を設けていて、生徒たちにいろいろなものに触れてもらう機会として設定しています。アロマをやったり好きな音楽を流したりと、自分の「好き」を伝えられる時間です。そしてやったらやった分良くも悪くも結果がでます。教育の世界は相手が人間です。その子の人生は1度で、同じ時間を繰り返すことはできません。子どもたちの成長していく姿を見られるのはとても嬉しいと同時に、身が引き締まるやりがいのある仕事でもありますね。
学校が目指す目標は、生徒を伸ばすだけではなく、先生の夢も伸ばす
――私学で働きたいと思っている人にアドバイスをください
柴田校長 私学は学校によって取り組みが全然違います。そしてその取り組みは生徒を伸ばすというだけではなく、先生の夢も伸ばすことができます。もし、勤めてみたいと思う学校があれば、その学校がどんな教育をしていて、何を目指しているのかをしっかり調べてみてください。