おすすめの私立学校紹介「芝中学校 芝高等学校」
記事更新日 2024.06.17

おすすめの私立学校紹介「芝中学校 芝高等学校」

「働く」という観点での私学の魅力や、人材育成についてお話を聞かせていただくコーナーです。
今回は、芝中学校高等学校 校長 武藤道郎先生にお話を伺いました。

教員それぞれの思いも尊重しつつ周囲と調和を図る

──貴校の教育理念や学校の雰囲気などについて教えてください。

武藤先生 芝学園では、「遵法自治」を校訓とし、世界や宇宙の法則や永遠の真理などに従いながら、自主・自立で自分を治めることを大切にしています。また、スクールミッションとしては、「豊かな人生を送るための生きる力を育む」ことを掲げています。

大宗祖日 … 浄土宗の宗祖法然上人(ほうねんしょうにん:1133~1212)の命日にあたり、芝ではとても大切な1日として扱われています。

生徒たちはこの遵法自治の精神で自立した学校生活を送っていますが、それは教職員を含めた学校全体にも共通することです。生徒たちに「楽しいと思うこと」「やりたいと思うこと」をやらせてあげるのと同じように、教員自身の考えも最大限に尊重しています。トップダウンでものごとを決めるのではなく、それぞれの教員、教科、学年の意見に耳を傾け、譲れない部分を大切にする姿勢は徹底しています。
ただし、思いだけでは周りを動かすことはできません。現場で試行錯誤を重ねながら、周囲にいかに理解してもらうか。それは各々が努力すべき部分であり、その努力が道を拓きます。学校としては、個の人格を鍛えつつ、実現したい教育に向けて頑張る姿勢を全面的に応援していきます。

──活気のある雰囲気が覗えますが、その中で教員が大事にすべきことはどんなことでしょうか。

武藤先生 2023年11月に教職員の「行動規範」を策定しました。これは学校、教職員、そして保護者との間に信頼関係を築くための道しるべだと考えています。生徒にとって校訓があるように、教員にとっては行動規範があることで、原点に立ち返って行動を決めることができます。
行動規範というと、行動を縛るものというように考える人もいるかもしれません。しかし、これに則って行動すれば学校の方針から外れることはありませんし、保護者や社会からの信頼を得ることにもつながります。

 

手厚い研修や制度で人材に投資

──貴校の教員研修や、特徴的な人事制度はありますか。

武藤先生 「人材への投資は何にも勝る」と考えており、教員の研究や研修制度はかなり手厚く設計しています。
まずひとつが、教員の海外研修です。コロナ禍以降、中断していますが、以前は夏に2〜3週間、アイルランドに教員2名を派遣し、現地で自分の興味ある分野を学ぶという機会を設けていました。自分の専門教科にかかわらず、学びたいことを学べるという趣旨で、物理の教員が英語を学ぶなど、自由に学びを選ぶことができます。また、家族の帯同(家族分は実費)も可能なので、プライベートを楽しみながら過ごすこともできます。
海外に飛び出し、新たな学びを得ることは、日常から離れた貴重な機会となり、自身のリフレッシュやブラッシュアップとなります。アフターコロナとなった今、近いうちにこの研修制度も復活させたいと考えています。
もうひとつは、教員一人ひとりに一定額の研究費を支給する制度です。その使い道も、自分の教科に限定せず、幅広く設定できます。専門の研究はもちろん、クラブに関係することや自分のキャリア、そのほか生徒のプラスになることならどんなことでもOKです。
この研究費を使って、社会科の教員免許を取得した英語の教員や、ドローンの免許を取得した教員もいました。このような成果を、楽しい経験として授業や「芝漬ゼミ」という講座で生徒に話してもらうことが、大きなプラスとなっています。

教員を大切にするということでは、福利厚生も充実。教員が健康であることで学校が成り立っているという考えのもと、人間ドックの費用を毎年、満額支給しています。
次の課題は、普段忙しい教員だからこそ、何も考えたり行動しなくてもいい、そんな時期をどう確保するかだと考えています。

 

ワークライフバランス重視で働きがいを実現

──教員の働き方については、何か工夫していることがありますか。

武藤先生  自分の時間や家族との時間も大切にする、ワークライフバランスを重視した働き方改革を進めています。コロナ禍以前は6時だった開門時間も7時としたり、始業が遅くなる冬時間の廃止、クラブの活動時間の延長の廃止なども実現。クラブは18時には完全撤収し、教員も20時には学校から帰宅できるようにしています。また、自分で仕事のスケジュールを組むことで、朝早く来て夕方16時くらいに帰るという働き方をすることも可能です。今後は給与体系にインセンティブを高めるなど、より働きがいのある仕組みをつくっていきたいですね。
また、教職員には、学校でのエピソードを家族に話せるような働き方をしてほしいと考えています。人を育てることの楽しさ、喜びを家族とも共有できる。そんな働き方ができれば、学校で教えることがますます楽しくなり、個人の人生も充実していくはずです。そんな満足度を図るひとつのバロメーターが、教職員の家族が学園祭で学校に遊びに来てくれるかどうか、ではないかと思っています。家族が学校に来るのを楽しみにしてくれるということは、教員が芝で教えることを楽しんでくれているということだからです。

──貴校で求められる教員の人物像とはどのような人材でしょうか。

武藤先生 本校が大切にしているのは「人づくり」です。それは生徒についても、教員についても同様です。人と関わることが好き、生徒が好き、教えることに情熱を持てる。そういう人材が、本校の求める教員像です。

生徒たちは、自分のために声をかけてくれた教員のことは絶対に忘れません。自らも人として成長しながら、生徒を育てる喜びを感じられる。芝の教壇にはそんな人物にぜひ立ってもらいたいですね。

 

「なぜ芝で教えたいのか」を面接では深堀り

──採用についても聞かせていただけますか。

武藤先生 教職員の採用では専任採用にこだわっています。慣れないうちは本人も学校側も大変ですが、しっかり研修することで芝のカラーを理解し、活躍してもらえばいいと考えています。そのためにも、学校側の研修力を上げることを積極的に進めていきたいと思っています。一流になるためには、まずは一流の真似をするところから。

──採用プロセスでは、どのようなことをポイントにしていますか。

武藤先生 採用面接では、なぜ教員をやりたいのか、なぜほかの学校ではなく芝で教えたいのかを、かなり深堀りして聞きます。そういった受け答えの中で、その人の生きた人柄が見えてくるもの。たとえマイナスなことでも正直に、しっかり話せる人、わからないことはわからないと言える、ごまかさずに聞き返せる人がいいですね。男子校ですから、「ダメなことはダメ」とはっきり言えることは特に重視しています。また、あまり頭でっかちなタイプよりも、ひとつのことに打ち込んだ経験があるかどうかのほうが、ポイントになってくると思います。

 

仲間と協力し自らできることを探す姿勢が生徒の心をつかむ

──最後に教員を目指す方へのメッセージをお願いいたします。

武藤先生 芝という学校がどういう学校なのかをしっかり理解したうえで、本校で何ができるのかを自ら見つけていくことを大切にしてほしいと思います。これはどの学校で教員になるとしても同じで、その気持ちは、必ず生徒たちにも通じるはずです。

 

#プロフィール
武藤 道郎(むとう みちろう)
芝中学校・高等学校 校長
#学校INFO
芝中学校高等学校
男子校・中高一貫校・高校募集なし
https://www.shiba.ac.jp/
〒105-0011
東京都港区芝公園3-5-37
TEL. 03-3431-2629
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