私立学校の採用試験って、結局コネなんでしょ?
記事更新日 2024.04.30

私立学校の採用試験って、結局コネなんでしょ?

私が私立学校で教員として働いている時に、よく言われたことは、「私立学校の採用試験って、結局コネなんでしょ?」ということです。
今回は、私学採用の実態をお伝えしたいと思います。

私立学校の採用はコネ?

教員採用試験については、公立学校の試験においてコネ採用による不正が明るみに出たことがありました。
私立学校においては、採用試験をいつ行なっているかも分からないし(そもそも行なっているかも分からないし)、より「公平に試験が行われていないのではないか」という懸念が生まれることは理解できます。
また、私立学校で働く教員には、その学校の出身者が多いことも、疑念に拍車がかかる一因であろうと想像されます。

では、結局、私立学校の採用は「コネ」なのでしょうか。
結論としては、少なくとも採用試験が行われている私立学校においては「極めて稀な例としてコネがある可能性は否定できないが、ほとんどの学校はより多くの人の中から有望な人材を発掘しようとしている」と考えます。

 

私学が「コネ」採用でない理由

なぜなら、本当に「コネ」で採用したいと思っている有望人材がいるのであれば、試験など行わずに、その人を採用すればいいだけだからです。
私学は共通で試験日があるわけでも、「○人を○○から○○の方法で取らなくてはならない」という取り決めがあるわけでもないので、そうしたいのなら試験など行わずに黙って採用するでしょう。

「いやいや、試験をやっているふりをしないと『不透明だ』と、後で問題になるから採用試験はやるけど、結果は決まってる」という見方もあるかもしれません。
しかし、残念ながら学校はそこまで暇ではありません。
そんな茶番に費やす時間とマンパワーがある学校は圧倒的に少ないです。(本当はそれぞれの学校に十分な余力があればいいのですが)
万が一それがあったとしても、子どもに費やすべき労力をそのように無駄にする学校なのであれば「むしろ採用されなくて良かった」と言えるでしょう。

 

なぜ私学の教職員にはOB・OGが多いのか

ただ、「じゃあ、なんで私立にはその学校の出身者が多いのだ」という疑問は残ります。

そもそも、教員採用試験では、志望者の「仕事への適正」「現在の知識やスキル(指導力)」「人間性」等を確認しています。
そして、私立学校の採用試験ではそれにプラスして、「その学校に合っているか」「その学校の未来とマッチしていけるか」といった部分が問われます。
私立学校の教育については、それぞれに個性があり、合う合わないが如実に現れることがあるからです。(当然、これは教職員だけでなく、受験生や保護者にも言えることです)
実際に「〇〇学校ではうまくいかなかったけれど、〇〇学園では活躍している」という教員は少なくありません。

その学校の出身であれば、この「校風にそもそも合っているか」という部分を、クリアできている可能性は高くなります。
だから、現状として、出身者が多く採用されているのです。

よって、出身者でなくても「その学校にマッチしていることがアピールできれば」、出身者と同じ土俵に立てると考えることができます。
また、改革を進めている学校であれば、出身者でないことを逆手にとって「出身でないからこそ、既存の文化に囚われない教育活動ができる」と伝えることも有効になるでしょう。

 

まとめ

以上のように、私立学校の採用試験においては「コネ」があるかないかを考えることにあまり意味はありません。
「自分にマッチしている」と考える私立学校が求人を出していたら、迷わず受けてみることをお勧めします。
採用試験には「学校があなたに対して」合っているかを確かめる側面があると同時に、「あなたが学校に対して」合っているかを確かめる側面があるのですから。

(作成:お仕事ジャーナル編集部A)

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